消費税増税分を払ってもらってない個人事業主は多い
フリーランスの方の中には確定申告で大忙しという方も多いと思います。ところで、2014年4月から消費税が8%になって、あなたのギャランティはきちんと値上がりしていたでしょうか。
例えば、フリーライターの原稿料の場合、消費税込みで1ページ10,000円だったら、10,286円になっていなければおかしいです。
消費税が5%のときは、10,000÷1.05=9,524で、つまり原稿料は実質9,524円だったのですが、これが消費税が8%になってからも同じ額になるには、9,524×1.08=10,286になっていなければいけません。
けれど、とくに知らされることもないまま、据え置きで1ページ10,000円という方、けっこう多いのではないでしょうか? よーするに、いつのまにか原稿料が減らされていたわけです。
消費税転嫁対策特別措置法の「買い叩き」に該当する
企業がこの差額の286円を支払わない場合、2017年3月末まで期間限定で実施されている「消費税転嫁対策特別措置法」での「買い叩き」にひっかかる可能性も!
フリーランスの方の中には、もともと消費税を請求していなかったという人も多いと思います。私のようなフリーライターの場合、担当の編集者から「なんでフリーなのに、消費税を上乗せして請求してくるの?」「ウチでは10,000円+税はダメ。昔から税込みと決まっているので」と言われて、「そういうものなら仕方ない」と納得しているケースも少なくありません。
しかし、本来は消費税分を上乗せして請求してもいいのです。また、課税売上1,000万円以下の「免税事業者」は、消費税を支払う義務はありません。
これまでずっと税込み価格だったという人は、これを機に消費税を上乗せして請求してみましょう。
モメたくないなら、経理部に直接聞いてみる
とはいっても、いきなり「今後は上乗せでヨロシク!」と頼める相手ならいいですが、取引先との力関係で、なかなか言い出しづらいということもあるでしょう。
「お金にうるさい奴だなー」とか「めんどくさいなー」と思われて仕事がまわってこなくなるのが不安という人も多いかもしれません。そんな方におすすめなのが、「直接、経理部に連絡してみる」という方法です。
そもそも、取引相手(ex.担当編集)はおそらく「会社の決まりだから」という理由で、これまで税込みでの価格を要求してくるケースがほとんどでしょう。なかには経理部から「上乗せを要求してきた人にだけ対応しろ」という命令が下されていることもあるみたいですが、経理部以外の人間が「貴様に上乗せはさせん!」と決めているわけではありません。
なので、相手も正直なところどう対応していいかわからない。ならば、直接、経理に連絡をしちゃうのがお互いにとって最も効率的です。
「確定申告のことで聞きたいことがあるから、経理部の連絡先を教えて」
この一言でOKです。
あとは、経理部の人間に「消費税転嫁対策特別措置法」のことをやんわりと伝えながら、これまでのギャランティが下げられていることや、今後は消費税を上乗せして請求させてもらうことを伝えましょう。それでもNGという場合は、公正取引委員会に相談することも可能です。
自分のせいで、企業に負担がかかってしまって、今後さらにギャラが減ってしまっては元の木阿弥だ!と思われるかもしれませんが、きちんと伝えた方が企業にとっても良いことです。
以前、東映アニメーションが税込み額を転嫁しなかったとして公正取引委員会から勧告を受けたことが話題となりましたが、こうして問題化する前に、しっかりと健全化させることのほうが企業側にもプラスとなるはずです。
たかが消費税分と思うかもしれませんが、消費税10%時代になれば、バカにならない金額になっていきます。 フリーランスとして稼ぐために、いろいろと勉強してみることは大切です。
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また、今年の確定申告は間に合いそうになくても、今後のために会計ソフトを導入してみるのもおすすめです。これまでお金について「なあなあ」にしていた方は、ぜひこの機会に、きちんとお金のことを考える習慣をつけることが、稼げるフリーランスへの近道になると思いますよ。