企画力や発想力を向上させる鍛錬法「売れるダイエット本」を考えてみる
私は普段、ライターや編集者として仕事をしています。その中で「企画力」というスキルがこの仕事において最も重要なスキルではないかと考えています。いや、こうした仕事に限らず、営業職だってコンサルだって、今やすべての仕事において「企画力」の向上は欠かせないかもしれません。
たとえばライターで言えば、どんな書籍や雑誌、Webコンテンツが売れるのか、どんな内容ならたくさんの人に読んでもらえるか、「企画力」はこの仕事を続ける限り「ずっと伸ばしていかなくてはいけない」ものであり、そして「衰えた時点で廃業も考えなくてはいけない」くらい必要不可欠な能力ともいえます。
でも、「どうやって企画力を鍛えればいいのだろう」と不安に思っている人も多いはず。すでに働いていて「来週までに企画10本考えてこい!」なんて言われれば、自然と企画力を鍛えざるをえない状況に置かれますが、例えば未経験者の場合、普段はなかなか面白い企画を考えるなんてやらないものです。
そこで私がおすすめしたいのが「売れるダイエット本を考えてみる」という企画力を向上させるトレーニング。意外とカンタンのようで難しい、でも確実に自分にとってプラスになる鍛錬法です。
ダイエット本を考えることで「企画力」に必要な3つの力が身に付く
では、なぜダイエット本なのか。それは「永遠になくならないベストセラー」だから。
ダイエットというジャンルは、おそらくこの先も、いつか痩せ薬が開発されない限り、ずっとずーっとテッパンのテーマ。これまでいくつものダイエット本が出されてきましたが、どんなに大ヒットを飛ばしたダイエット本が出版されても、必ず翌年には違うダイエット本がヒットします。「さすがにもうないだろ〜」と思っても、必ず出てきます。
そう、ダイエットに関する企画は底なしなのです。考えれば絶対に出てきます。ダイエットというテーマについて、何をかけ算したら面白いか。これを常に考えることで、企画力に必要な「発想力」が向上します。ちなみに、この発想力の点については、それが実際に痩せるかどうかは重要ではありません。いかにユニークかどうか、実際に効果があったと仮定して、ウケるかどうかを考えるだけでいいと思います。
また、ダイエットについて企画するために必要なのは、たんなる発想力だけではありません。今、何が流行っているのか、次に何がブームとなるのかなど、発想だけに頼らない「時代を読む力」も重要になってきます。企画力というと発想力とイコールと勘違いしがちですが、企画力には世の中に今、何が必要とされているかを観察するスキルも含まれています。どんなもの、どんな人が人気で、それが新しいダイエットとどう結びつくかを考えることは、世の中について考えることでもあります。
そしてもう一つ身に付くのが 「 女性にウケる力」。この世の中をまわしているのは女性です。モノを買ってくれるのも女性ですし、ブームを作り出すのも女性。「女性を制する者が世界を制す」と言っても過言ではありません。身の回りの「ヒット」と呼ばれるものを考えてみてください。すべてが女性に支持されています。ダイエットはその典型で、いかに女性にウケるかがマストとなるテーマ。売れるダイエットを考えることは、女性に売れるものを考えることでもあるんです。
余談ですが、今の世の中は「オタクが火をつけ、ヤンキーが消費する」と言われていますが、私はこの先に待つ「女性に支持される」が本当のヒットではないかと思っています。
そもそも企画力の向上=クリエイティブとは何か?
また、さきほどはやせるかどうかは考えなくていいとかきましたが、いざ実際にダイエット本にしてみると仮定した際には、本当に売れるかを考えることも企画力の向上の役立ちます。ダイエットにはユニークさだけでなく、実際にやせる(=効果がある)という要素がないと絶対に売れませんし、そういう意味では、考えた企画が実際にどういう効果があるのかを調査する力や、誰に出演してもらうか(医学博士なのか、インストラクターか、タレントなのか、など)といった交渉力も後々に必要となってきますが、それをあらかじめ考えておくことも、企画力の向上には役立つはずです。
で、こうした理由から企画力を鍛えるためには常に「売れるダイエット本を考えてみる」ことをおすすめしますが、この「売れる」という部分がすごく難しいと思います。
ダイエットという「売れるジャンル」であるからこそ、企画するうえで難しさを感じる。それが逆に企画力を鍛えてくれるのだと私は思います。
ゼロからイチを作るのは比較的簡単です。これは何も書籍や雑誌の世界の話だけではなくて、例えば、AKBより売れるアイドルグループを考えるのと、AKBを今の2倍売れるアイドルにすることを考えるのはどちらが難しいでしょうか。もしくは、若手芸人をつかった新番組を考えるのと、明石家さんまを使った新番組を考えるのは、どちらが難しいでしょうか。
前者は比較的アイデアがたくさん出せます(実際に売れるかは別として!)が、後者はすごく難しいです。つまり、何もないところから売れるものを企画するよりも、売れるものからもっと売れるものを企画する方がある意味でクリエイティブだったりします。
だからこそ、何もないところからではなく、今回紹介したダイエット本のように、「ダイエットという売れるテーマから、じゃあ自分は何が生み出せるか」を考えることが、企画力を鍛えるためにはとても大切なのです。