編集者が教える「ゴーストライター」になる方法

稼げるフリーランスになるための一つの選択として「ゴーストライター」を目指すというのはおすすめです。

なぜおすすめなのか? 私はこれまで雑誌や書籍を中心にライター、編集者として活動してきましたが、今回は「稼げるゴーストライター」になるための話を通して、その理由について解説したいと思います。ちなみに、かつてお騒がせとなった作曲家としてのゴーストライターの話ではないのであしからず。

テレビでも「ゴーストライター」を扱ったドラマも以前は放送されたみたいで、何かと注目されていますが、ゴーストライターというのはいわゆる代筆屋のことです。

今回のドラマのように有名な文芸書の作家さんが代わりの者に書かせる(例えば「宮部みゆき」や「伊坂幸太郎」が実は自分で書いていなくて、別の人間が書いている)というケースはレア(というかほぼゼロ!)ですが、雑誌やビジネス書などにおいてゴーストライターの存在はけっこう当たり前のことです。

特にタレントさんや評論家のような人の場合、最近では自分で書く方も増えてはいるものの、ほとんどがゴーストライターが書いていると思っていいです。タレント本人が話したことを、おもしろく編集した形で文字に起こしているわけで、まったく言っていないことを本人に成り代わって書くというパターンはほとんどありませんが、忙しい人たちに変わって上手に原稿を書くゴーストライターはたくさん存在します。(それくらいは知ってるし、と言われそうですがいちおう)

目次

ゴーストライターになる最も簡単なアプローチの仕方は?

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で、肝心のゴーストライターになる方法です。例えば、あなたの周りに芸能人がいて、今度、本を出したいという話を聞き、そこでライターとして参加したいと手をあげれば、それで立派なゴーストライターですが、誰もがこんな人脈を持っているわけではありません。

まったく人脈がない状態でどうやってゴーストライターになるのか? ゴーストライターになる対象相手を探すのか? 私がおすすめしたい近道が、

「雑誌で取材してみる」です。

仮に、あなたが女性ファッション誌でダイエットの記事を担当しているとします。そこで、「ビールだけダイエット」を提唱しているA博士について知りました(そんなダイエットは流行らないと思いますが)。面白そうだと思ったあなたは取材してみます。

実際に取材してみると、すごく話が面白い。無事に誌面にA博士へのインタビューが掲載されて、読者からも手応えがあった。その時「このたびは取材にご協力いただき、ありがとうございました」で終わってはいけません。

「次はこんな企画があるんですが、どうですか?」

「面白かったので別の雑誌でも出てもらえませんか?」

実現するかしないかはさておき、この一言で、今後も一緒に仕事をしていこうという具体的な意思表示をするのです。「メディアに出る時は私が書きますんで、いつでも使ってください」ということをA博士に刷り込ませます。

なお、どうして「雑誌で取材」なのかというのは、それなりに名の知れた人でも意外と簡単に取材がOKだから。面白そうな人がいたからといって、いきなり「書籍を出しませんか?」と言っても、相手は面を食らってしまいますし、出版社側も実績がない人の本をいきなり出すことは渋ります。

でも、雑誌のイチ企画であるならば、編集者はそこまで文句は言いません。取材相手も雑誌の取材くらいならと、気軽にOKしてくれることは多いです。なので、自分が気になる人がいたら、まず雑誌の取材からアプローチしてみることをおすすめします。

稼げるゴーストライターになるには?

コレ、意外にも売り出し中の人なら、タレントやミュージシャンなど芸能人でも有効です。さすがに長年活躍している人には、すでにこうした存在のライターがいるので難しいですが、売り出し中の人には案外いないものです。芸能人だったらマネージャーさんと仲良くなることも重要です。

イメージ的にはお笑い芸人の座付き作家に近いかもしれません。そこまでベッタリする必要はないのですが、誌面に出る時には必ず私が書くという暗黙の了解を植え付けていきます。

こうした人脈をいくつも作っていき、彼らの「お抱えライター」になっていくことがゴーストライターになる近道です。すると、だんだん「A博士のマネージャー」のような仕事をする段階へと突入していきます。

雑誌にA博士の連載を持ち込んでみたり、記事がたまっていったら書籍化を提案してみたり。テレビ業界の人間とつながっていたら、番組出演を打診してみたり。ダイエット商品メーカーに話をもっていくのもアリかもしれません。A博士側からも「こんな依頼が来たんだけど、書いてくれない?」なんてことも増えていきます。その際に「じゃあ、今回はこうした切り口で書いてみましょうか」というアイデアの提案も大切です。

つまり、ゴーストライターとして稼ぐためには、彼らの「マネージャー」、そして「プロデューサー」になるべきなのです。

ゴーストライターの意外なメリット

ここまで聞くと「なんだかめんどくさそう」と思われる人もいるかもしれません。

が、そもそも、「A博士」というネタを得たことは、企画のアイデア出しのコマが増えたということで、ライターとしてのメリットは非常に大きいです。

そして、何よりも大きなメリットが書籍化した時のギャラ、つまり印税です。

フリーライターとして書籍を担当する場合、印税契約というのはそこまで一般的ではありません。「1冊書いたら○○万円」「増刷したらプラスで○○万円」など固定額での契約のほうが多いと思います。

それだけでも雑誌を中心に活動するフリーライターにとっては十分なボーナスなのですが、担当した書籍がバカ売れしてしまうと「印税契約だったら100万もらえていたのに…クソ!」なんて悔しい思いをすることもあります。だからといって「次回からは印税契約で」と交渉してみても、なかなか出版社は首を縦に振ってくれません。

しかし、A博士が書籍を出すことになった場合、出版社はたいていA博士名義の本なので印税契約を結びます。このとき、ゴーストライターであるあなたはA博士に「そのうちの○○%を私に」と交渉できます。出版社との交渉では認められなかった印税契約が、ゴーストライターであることで可能になるのです。

印税契約はライターにとって、ものすご〜くモチベーションのアップにつながります。売れた分だけ自分に入るというのは、思いのほか自分を奮い立たせるものです。それだけに仕事がどんどん楽しくなっていきます。

このメリットがゴーストライターを目指すことをおすすめする最大のポイントかもしれません。

…というわけで、今回は雑誌や書籍を中心に活動するゴーストライターについて書きましたが、これらは私個人の経験からのお話で、すべてが正しいわけではないです。さまざまな場所から情報を集めてみることが稼げるフリーライターになるための一番の近道です。

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