企画書って面倒ですよね。あれこれと作り込んでいるうちに、書いた企画書がちゃんと通るのかと不安になるし、あまりに悪戦苦闘していると、そもそもなんで私はこんなことをやっているんだろうっていう気持ちになってくる。
私はフリーライターという仕事をしていて、主に「メディアに企画を通す際の企画書」と「取材相手に取材を申請する企画書」という2パターンがあって、後者はほとんど申請書みたいなものなので、ほぼテンプレ化されているので苦労はないのですが、前者のほうがあれこれと考えなきゃいけないから大変です。
(今回の話はライターの方はもちろん、新規事業の企画書、ゲーム企画書やイベント企画書などあらゆる企画書にも通じる話だと思いますので、ぜひ読み進めてみてくださいな)
最近ではライターとしてのキャリアもそこそこ長いので、わざわざ企画書を作る機会も減っていますが(電話や直接話し合って企画をまとめる、もしくは編集者のほうからお願いされるのがほとんど)、この間、若いライターの人に「企画書ってどう書いているのか」という質問をされて、「私も若い頃は苦戦してたなー」と思ったので、こちらのブログにも書いてみようと思います。
たった1つのフレーズを盛り込むだけで、企画書は劇的に改善されます。(これはけっこう自信を持って言えちゃう!)
もういたってシンプルです。
企画書を作る際にこのフレーズを必ず書くようにしてください。
「この企画の面白いところは……」
これだけ!
なんだよ、それだけかよーと思うかもしれませんが、意外とこれが効く。私は編集側の仕事もしているので、他のライターから企画書をもらうことも多いのですが、この「この企画の面白いところは……」というフレーズを入れていない人はけっこう多い。
企画書って何のために作るのかというと、その企画を別のだれかに伝えるためですよね。で、一生懸命に「内容」を伝えようとしているのだけど、それは本質じゃない。何が面白いのか。そこをちゃんと伝えるべきなのです。
もっとお固いビジネスの場合には当てはまるかについて、私はわかりませんが、きっと同じなのではないでしょうか。
「この企画の儲かるところは……」
「この企画で解決することは……」
「このプロジェクトで世の中の役に立つところは……」
「この政策で国民をダマせるところは……」
こうして、企画の内容じゃなく、自分が考える「やる意義」を伝えてあげる。これだけで企画書は一気に伝わりやすくなりますし、実際に通りやすくなるはずです。
ほら、日本人って控えめだから自分から「ここが面白い」っていうのに抵抗があると思うんですよ(他の国の人がどうかは知らんけど)。
だから企画書を作っていても、「こういう内容の企画なのですが、面白いでしょうか?」とか「企画の内容をちゃんと読んだ上で、面白いところを読み取ってください」というスタンスの人が多い。でも、これじゃあ伝わりづらい……。
だから、私は企画書を作るとき、まず「この企画の面白いところは…」というフレーズから書くようにしています。
鈴木おさむがやってるんだから間違いない
で、最初に「自信を持って言える」って書きましたが、これって放送作家の鈴木おさむも同じことやってるんですね。先日、「新企画 渾身の企画と発想の手の内すべて見せます」という書籍を読んでいて気付いたんです、こちらは鈴木おさむによる企画書とそれについての解説という構成になっていて(当然、主にテレビ向けの企画ですが、別の職業でもすごく参考になるのでおすすめです。私はまだ途中までしか読んでないけど)を、その企画書の部分に必ず「この番組の面白いところは……」というフレーズが入っている。
鈴木おさむという放送作家は(個人的な好き嫌いは別として)、誰から見ても超一流なのは間違いない。そんな人が、ちゃんと「この番組の面白いところは……」とあえてはっきりと書いてるんです。立場からしたら内容だけ書いて「おまえら、この企画が面白いってわかるよな?」でいいような大御所なのに。
よーするに常識なんです。私の場合も、えらそうに書いてますが、たぶん若い頃に先輩に教えてもらったか、「あなたにもできる!正しい企画書の書き方」的な本を読んだのか……ちゃんとは憶えてませんが、このフレーズを企画書に盛り込むことって、きっと当たり前のことなのです。
「この企画の面白いところは…」を盛り込むだけ。
もしも、この企画の面白いところが書けないようでは、相手に面白さは伝えられないし、そもそも企画自体が面白くないのかもという別の悩みが出てきますが、それが本来の企画書で悩む部分。企画書のテンプレをどうしたらいいかなんかで悩んでいるバカな時間があったら、そっちに頭を使った方がいい。
それに、はっきりと「この企画の面白いところは……」と書くことで、企画書を読んだ人に「いや、こういう面白さもあるよね?」というブラッシュアップにも繋がります。
もしも知らなかったという人がいれば、ぜひ企画書に盛り込んでみてはどうでしょう。