記者ハンドブックはWEBライターやブロガーも買うべき一冊

記者ハンドブックとは共同通信社が発行している用字用語集のこと。新聞記者やライター、編集者、広報担当者は必携の一冊ですが最近ではWEBライターやブロガーが購入するケースも。記者ハンドブック最新版を実際に購入してみたので、なぜ買うべきなのか、その理由について解説します。

目次

文章を書くすべての人のための「日本語ルールブック」

記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集

どーも、名瀬なのかです。

みなさんは「記者ハンドブック」というものをご存知でしょうか。共同通信社が発行している新聞記者向けの用字用語集なのですが、もちろん新聞記者だけでなく、私のようなライターや編集者、広報担当者なども必携の一冊であります。さらには最近ではWEBライターや在宅ライター、ブロガーが購入するケースも増えています。

10数年前、私も駆け出しライターのころに先輩から買っておけと言われて購入して、ボロボロになるまで使い倒した記憶があります。ただ、これだけインターネットでなんでも調べられるようになった時代。わざわざ「記者ハンドブック」で確認する機会も減り、「記者ハンドブック」は気がつくと私の手元からどこかへ消えてしまっていました。

そんな中で、2016年の3月に「増補大改訂!!」という大々的なキャッチフレーズで第13版が発行されることに。定価1900円とけっこーなお値段でしたが迷わず購入!

んで、改めて読んでみると、「記者ハンドブック」っていろいろと面白いんですよ。

新聞記事の原則はWebライティングにも通じる

普通の辞書と何が違うのかというと、【まえがき】にこんな記述があります。

本書で13版となりますが、記事は

1、分かりやすくやさしい文章、言葉で書く

2、できるだけ統一した基準を守る

という原則に変わりはありません。

p7にある【新聞記事の大原則】にはさらに詳しく

新聞記事は、日常一般に使われる標準的な分かりやすい口語体を使い、文語体や文語的表現は避ける。

とあって、p8からの【記事の書き方】というページにも

記事の大原則は「正確に、早く」だ。それに加え、難しい事象であっても「分かりやすく」「コンパクト」にまとめることが重要となる。

とにかく「伝える」文章を書くための教科書でもあるのです。

この大原則って新聞だけじゃなく、Webライティングにも当てはまりますよね。「正確に早く分かりやすくコンパクト」なんて、まさにWebライターならではの必須のスキル。

そういう意味で、単なる新聞用字用語集ではなく、ライターの入門書として読む価値はあるんじゃないか、と。

「いなづま」か「いなずま」か? インディアンは差別用語か?

もちろん用字用語集として有用なのは言うまでもありません。p90〜には【「ぢ」「じ」、「づ」「ず」の使い分け用例集】があって、まぎらわしい言葉はだいたい載っています。

さらに、p490〜は【差別語、不快用語】について。これってWebライターだと分からないことも多いと思うので、立ち読みでもいいので、さらっと読んでおいた方がいいかもしれません。

差別語だと知らずにつかって場合も多いですし、一方で、使っちゃいけないと思っていたけど差別語でなかったというものもあることに気付きます。

例えば、

・黒んぼ、ニグロ、ニガー → 黒人

(注)人種問題で明記の必要がある場合は黒人、白人と書く

・インディアン → 使用可

私は今までなんとなく使っちゃいけないと思っていたのですが、それぞれきちんとなぜ使うべきか、なぜ使わないべきかかの理由も詳しく書いてあって興味深い。

ここでちょっと問題です

以下の言葉、「記者ハンドブック」が推奨するのはどっちでしょう?(必ずしも日本語として誤用というわけではなく、書き言葉として避けたい、統一でこちらを使うようにという言葉も含まれます)

第1問 A、愛想を振りまく B、愛嬌を振りまく

第2問 A、老体にむち打つ B、老骨にむち打つ

第3問 A、養老院 B、老人ホーム

第4問 A、エリザベス女王陛下 B、エリザベス女王

第5問 A、形状記憶シャツ B、形態安定シャツ

はい、シンキングタイムっ!

正解は?

すべてBが正解です。興味深いのは、例えば第4問の「エリザベス女王」。これは「外国王室は原則として肩書敬称として、敬語は使わない」というスタンスなので、陛下を付けません。一方で、日本の皇室には原則として敬語を使います。ただ、二重敬語にならないようにしていて、「お着きになる」「ご覧になる」のような「お○○になる」「ご○○になる」も使用しません。

それぞれ詳しい理由は記者ハンドブックで確認してみてください。

(第14版が出ました!)自分に必要なら買ってみては?

そんなわけで、私はWebライターの方にも「記者ハンドブック」はすごく役立つし、必要だと思っています。

ただ、もちろん新聞記者でもない私たちが、「記者ハンドブック」で一語一句確認しながら正しい日本語にこだわりすぎた文章を書く必要はまったくないと思います。迷ったときくらいで良いんじゃないでしょうか。

それよりも「文章を書く者の心得」的なものとして目を通しておくと、きっとライターとしてプラスになると思いますよ。

……と、散々「記者ハンドブック」を勝手に宣伝してきたのに悔しいのが、Amazonで売り切れ中なんですよね。(追記、第14版が出版されたみたいです!)

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