現役ライターに聞く、知られざる「アイドルライター」の仕事

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アイドルライターとは?現役プロライターに聞いてみた

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ここ最近続いているアイドルブームも影響してか、アイドルを扱う雑誌や書籍で活躍するいわゆる「アイドルライター」は増えています。フリーライターを目指す人の中にもアイドルを取材したいという方は多そうなので、今回はアイドルライターの仕事について、どうすればなれるか、仕事の内容、原稿料、注意点など書いてみたいと思います。

とはいえ、私自身は専門分野でもなかったので、知り合いの男性ライターに話を聞いてみました。先日、現役アイドルライターの田中くん(仮名)と話す機会があり、ブログに書くことを了承してくれたうえで、いろいろと教えてもらうことに。

なので、今回はインタビュー調です。

アイドルライターになるには

ーアイドルライターになったきっかけは?

田中 ボクは、もともとグルメライターだったんですよ。ただ、ほかにもスポーツとか芸能とかのジャンルを書いていて。んで、ちょうど芸能の記事を担当してた雑誌から「秋葉原におもしろいアイドルグループが出来たみたいだから取材して来て」って言われて。それがAKB。「うわ、なんだこの子たち。すげー!」って。そこからアイドルにハマりました。だから大人になってからですよ、アイドルに興味持ったの。

他のアイドルも扱うようになってきて、ももクロとかアイドリング、ハロプロですね。ちょうど、だんだんアイドルブームが訪れはじめ、どんどん他のグループも盛り上がって来て、しだいにボク自身もアイドル仕事が増えていったという感じ。周りを見ても半々じゃないですかね。もともとアイドル好きっていう人と、ボクみたいにブームに乗っかった人。

アイドル誌が増えたっていうのもあるけど、普通の雑誌でもアイドルを扱うのが当たり前になったので、ライターとしての需要は大きくなっています。最近だとWeb媒体で書いている人も多いですよ。ちなみに今は私立恵比寿中学とかでんぱ組が好きですね。

ー仕事はアイドルへのインタビューが中心?

田中 ですね。たとえば新曲が出たり、何かイベントがあったらインタビューしにいくっていうパターンが多いです。ボクの場合はアイドルグループだけじゃなくて、タレントや女優さんなんかにインタビューすることもあるので、ドラマが始まったら取材しにいくってことも。それを記事にしてます。

あとはライブレポとか。半分は原稿にしないので、情報収集というか、「趣味」ですけど(笑)。泣けるんですよ、ライブ行くと! こんなに若い子たちががんばっているんだからボクもがんばらないとって。ボク、ずっとサッカーやってたじゃないですか。高校のときに……(長かったので省略)。だから、彼女たちの気持ちがすごくわかる!

アイドルへのインタビューのコツ

ーでも、アイドルへのインタビューって大変そう。

田中 楽しいですよ。普段、若い子と話す機会なんでないじゃないですか。あ、変な意味じゃなくて。今の10代の子たちがどういうこと考えているのかとか、何が流行ってるとか、そういう情報を知れるのは楽しいです。たとえば、ずっと前にアイドルに普段どんな音楽聞いてるか話したら「SEKAI NO OWARI」って言ってて。へぇ、そんなのが流行ってるんだって思っていたら、いつの間にか紅白に出てましたから。若い子たちから新鮮な情報が入ってくるのはライターとしてメリットだと思いますね。

ただ、たしかに大変なこともあって、アイドルの中でも話が上手い子とそうじゃない子がいて、けっこう困ることは多いです。頭のいい子だと、こっちが聞きたいことを理解して、上手い答えを返してくれる。例えば、「次はオリコン1位を絶対とります!」とか、見出しに使えそうなキーワードとか入れてくれたり。でも、そうじゃない子は「がんばります」とか「今後もマイペースでいきます」とかしか言わない。

ーいわゆる「塩対応」?

田中 いや、そうじゃなくて、話が「具体的」じゃないんです。例えば、新曲についてのインタビューについて聞いても、「一生懸命がんばりました」しか出てこない。ただ、デビュー間もない子だったりすると仕方がないことで。そういう子から、どうやって面白いエピソードを引き出すかっていうのも、こっちとしては仕事かなって思うので、毎回必死ですね。そこはアイドルライターとしての注意点というか仕事の醍醐味かも。

はじめは全然話せなかった子が、一年くらいして、すっごくしゃべれるようになると、成長の一部にボクも貢献できたのかなっていう幸せも感じますし。

ーインタビューにもテクニックがいるわけなんだ。

田中 事前にいろいろ知っておく必要はありますね。その子が何が好きなのかを知っておいたり。なので色んなアイドル雑誌を買ってますよ。

(名前をあげてもらうと)

BOMB!(ボム!)

UTB (アップ トゥ ボーイ)

G(グラビア)ザテレビジョン

ENTAME(エンタメ)

BUBKA(ブブカ)

BIG ONE GIRLS

Top Yell (トップエール)

週刊プレイボーイ

ーめっちゃ多いね!

田中 他にもメンバーのツイッターだったり、あとはテレビやラジオの冠番組や、動画で公演を見たり、情報収集はけっこー大変だと思います。まあ、楽しいですけど。

それと、インタビューのことでいうと、ボクの場合は媒体によって同じアイドルでもインタビュー内容を変えています。今言ったアイドルファン向けの、いわゆるオタがターゲットのような雑誌だったら、アイドルがこれまで語ってないエピソードを引き出すようにして、一般の人も読むような雑誌だったらその子の武器を強調するようなベタな話を聞くようにして。

例えば、サッカーが得意なアイドルがいたとして、オタだったら彼女のサッカーについての話はもう知っているわけですよ。だから、もっと別の話を読みたいと思うんです。でも、一般の人にとっては知らないことですし、それは彼女の武器でもあるから、ボク自身が聞いたことがあった内容でも、一般紙向けにもう一度話をふってみることはあります。もしかしたら一般の人からも人気が出て、そこからサッカー番組に呼ばれるかもしれない。

なので、記事を書く時は「ファンのため」と「アイドルのため」という2本軸で考えることが多いですね。

女性のほうがアイドルライターに向いている?

ー若い子にインタビューするのって緊張しそう。

田中 緊張はないけど、やっぱり聞きづらい話とかはありますよ。恋愛ネタとか。だから、けっこう女性のほうが、アイドルライターには向いているかもしれない。女子同士だから、恋愛系の話でもさらっと聞けるし、アイドルからしてもやっぱり男の人に話すよりも本音が話せるだろうし。

すごく仲良くなって、もはや友達というか相談ごととかに乗ってる女性ライターもいますよ。ちょっとボクとしてはジェラシーだったりするんですけど(笑)。

ー意外といやなことって?

田中 事務所との距離感ですかね。もちろん仲良くしなきゃいけないけど、近づきすぎるのも危険。いきなり事務所の人に夜中に呼び出されて飲みに連れて行かれることとか、しょっちゅうなので、それはまあ仕方ないことですけど、一回怖いことがあって。

無名の事務所なんですが、一度取材したら、そこの社長に気に入られちゃって。「ちょっとお願いがあるからきてくれ」って言われていったら、「うちのアイドルをなんとかしてくれ」って、100万円の札束を机にポンって置かれて。本当、ドラマみたいなシーンというか。

もちろん、ボクはただのライターなのでそんな力はないですし、そんなのもらっちゃったらあとが怖いので「できるだけ協力はするんで。もし売れたら、その時はください」って言って受け取らなかったですけど。でも、結局あれから音沙汰ないですね。

アイドルライターの収入

ーそういえばアイドルライターって稼げるの?

田中 週刊誌とかで定期的に担当しているライターはけっこー稼いでるんじゃないですか。書籍に絡んだりとか。ただ、正直ほとんどの人は、稼ぎたいというよりも好きだから仕事をしているっていう感覚だと思います。自分でイベント開いたりとか、自分でアイドルをプロデュースしたりっていうライターの人もいますけど、お金目的というよりは、本当にアイドルが好きだからやってるかと。

ボク自身でいうと、ライターのほかに放送作家もやっていて収入のメインはそっちです。あんまり専業で稼げる分野ではないかもしれない。生活はできると思うけど。

ー好きじゃないとやっていけない世界。

田中 好きすぎてもダメだし、好きじゃないと続かないだろうって思いますね。好きすぎるっていうのは、やっぱりファンではなくて、第三者として冷静に取材しなきゃいけないと思うので。どんなに推しメンがいても、人気がないと編集者からNOが出るんで。

ただ、そこをなんとか企画力でねじ込むっていうのも楽しかったりするんですが。「この子、面白いんですよ。こういう切り口どーすか?」みたいな。どういう記事で登場させるかっていうアイデアは特にアイドルライターには重要だと思いますね。




…というわけで、今回は知り合いのライターに聞いたアイドルライターという仕事について書いてみました。好きじゃないと続かない仕事かもしれませんが、お金だけじゃない何かを得られる仕事であるのは間違いないようです。

ちなみに最近ではWEB媒体でもライター需要は増えているようなので、ライター未経験の人は挑戦してみるのはアリかもとのこと。

今後もこうした形で、私の経験だけでなく、知り合いのライターからの話も掲載していこうかと思います。

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