後輩だったA子から「背中に天津飯のタトゥーを入れたい」と相談された話。

フリーライターという仕事をしている人は変わり者が多いというイメージが強いかもしれません。

 

でも、少なくとも私の周りは意外と普通な人が多く(その普通が世間の普通と同じなのかはわからないけれど)、一部のぶっ飛んだ人が目立っているだけで、実はいたってマジメな人も少なくないのです。

 

ただ、私がかつて一緒に仕事をしていた後輩のA子ちゃんは、かなりの変わり者でした。

 

新人のくせに仕事は優秀。なのに、とにかく超がつくほどのマイペース。

 

毎回遅刻は当たり前で、例えば私が編集を担当し、彼女をライターとして使った大物タレントのインタビューでも遅刻してきて、しかたなく私が取材。1時間のインタビューで開始20分後にのこのこと現れてもまったく悪びれる様子もなし。

 

「そういえば、ウィキペディアに書いてあったんですけど、リリーフランキーもしょっちゅう遅刻するらしいですよ。私も大物になれますかね。その時は今日のことウィキペディアに書いといてください。てか、ウィキペディアってどうやったら書けるんですか?知ってます?」

 

また、彼女がどうしても取材したいと自ら企画したハリウッド俳優のインタビューも取材時間がたった15分にもかかわらず、30分遅刻してくる始末。

 

「でも、違う媒体に頼んで、ちらっと顔は見せてもらったから問題ないっす!」

 

いや、問題あるのはこっちだよ!とブチキレるのですが、反省したり落ち込んだりする気配はなく、途中から叱るのをやめ、常にA子ちゃんには2時間早いウソの待ち合わせ時間を伝えるようにしていました。

 

他にも「朝昼晩じゃがりこダイエットはたぶん痩せる」と始めたり、彼女はヘビースモーカーだったのですが、「日本で売っているタバコを全部吸って、その中から私は1番を決めたい」と毎日違うタバコを吸うなど、変わった言動は紹介しきれません。

 

で、そんな彼女がいつになく真剣な表情で私に相談をしてきました。その内容は、

 

「背中にドラゴンボールの天津飯のタトゥーを入れたいんです。どう思いますか?」

 

へ?

 

もともとA子ちゃんは漫画やアニメに詳しく、いわゆるオタク。私が全然知らないマニアックな知識を持っているのですが、彼女曰く結局のところ天津飯がもっとも自分のタイプなのだという話は何度も聞かされていました。

 

でも、タトゥーを入れるとなると、、、別にタトゥー自体は今時普通かもしれないけど、さすがにアニメのキャラクターは、、、と私が渋い顔をすると、A子ちゃんは心配なことが3つあって踏み切れないのだと言うのです。

 

その1 タトゥーを入れたら結婚できなくなるか?

当時、彼女は25歳くらいだったと思うのですが、まったくリアル男性に興味がなく、結婚なんて考えられないと言っていました。でも、

 

「もしかしたら、30歳くらいになってあたしも突然結婚したくなるかもしれないじゃないすか。その時、やっぱりドラゴンボールが好きじゃない人だったら引きますよね?」

 

いやいや、好きとか嫌いじゃなくて、かなりの確率で引かれるから!と私が言うと

 

「それって天さんだからですか?」

 

その2 鳥山明先生や集英社に怒られないか?

勝手にタトゥーを入れて、著作権的に大丈夫なのか、というのが2個目の心配ごとらしく、

 

「やっぱ(c)バードスタジオって入れるべきですかね?でも、それだと鳥山先生が書いたように思われても迷惑がかかるし。集英社の方に知り合いいましたよね?そういうケースって、いつもどう対処してるか、聞いてもらえないですか?」

 

いつもって。そういうケース、レアだぞ、たぶん。

 

その3 タトゥーには、餃子(チャオズ)も入れるべきか?

最後がこの悩み。これについてもA子ちゃんはいたって真剣に聞いてきます。

 

「やっぱりチャオズも入れたほうがいいと思います?でも、私は天さんが好きだから。でも、天さんのことを思うと、、、嫌な思いをさせるくらいならタトゥーは入れたくないんです。チャオズもいなきゃ天津飯のタトゥーはダメですよね?」

 

ちなみに私も彼女もお酒が強くないので、A子が酔っ払ってバカなことを言っているわけではなく、この会話はお昼のカフェで行われました。

 

その後、A子は「フィリピンに格安で語学留学ができるらしいので行ってきます」と行ったきり、消息不明なのですが、はたして無事に天津飯のタトゥーは入れたのか?そして、誰かと理解ある男性と結婚しているのか?

 

もしも天津飯のタトゥーを入れたマイペースな30歳くらいの女性を見かけた人がいましたら、チャオズが入っていたかだけ教えてください。

 

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