仕事やめたいと思った時、いつも甲本ヒロトの声はやさしい

「レールに沿った人生なんて嫌だ」と大学を中退しようとする若者、今もいるのでしょうか。

レールに沿った人生。

それは良い大学を出て、新卒で大手企業に採用されて、男性なら定年まできちんと給料をもらい続ける、女性なら途中で安定した職業の人と結婚。それがレールに沿った人生?

私は今、フリーランスとして仕事をしておりますが、こうしたものが「レール」だとするならば、大学の時に早々と乗り遅れました。大学の授業もそこそこにライターとして活動を始めて、気づけばフリーランスに。

それでも後悔は……ない。

……わけないだろー!後悔しまくりです。

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そりゃ私だって新卒採用で大手の出版社やテレビ局に入れるものなら入りたかったし、いや、むしろ公務員とか銀行に入っとけばよかったなんて、しょっちゅう思っています。

まわりのフリーランスも基本的にはこんなのばっかり。お笑い芸人目指してたライター、モデル崩れでスタイリスト、とくに理由はなく気づいたらカメラマンとか。みんなレールからは外れてる。

毎日楽しそうではあるけど(もちろん心のどこかで不安は抱えている)

ブルーハーツTRAIN-TRAIN

見えない自由がほしくて 見えない銃を撃ちまくる 〜ザ・ブルーハーツ「TRAIN-TRAIN」〜

いったん私たちのことは置いておいて、これまでみんなの共通認識として「真面目にコツコツとがんばれば、正規のルートで乗車券を手に入る。それこそが栄光に向かって走る列車だ」というものがあったと思います。

きちんと大学を出て、新卒で大手企業に採用された人、公務員試験に受かった人、医学部入った人、司法試験に受かった人、女子アナになった人……こうした「努力」を「結果」に結びつけた人は幸せになれるし、まわりに比べて高収入を得る権利があった。

一方で、こうしたレールを外れてお金持ちになる人への風当たりはなぜか強くて、正規のルートではなく栄光に向かうことに、みんながどこかしら嫌悪感を持っていた。私のようにフリーランスになる、自分で起業する、株で儲ける……外れたレールの行き先が天国なのか地獄なのかもわからないのにバカみたいに突き進む人たちに人々は厳しい。

失敗すれば「ほら、やっぱり」、成功すれば「今だけだよ」と。

それは哀れみだったのか、それとも嫉妬だったのか。

真夜中レーザーガン/ハイロウズ(Laser Version)

俺はやってやってやって やりまくって 最後までやりまくるのだ 〜ザ・ハイロウズ「真夜中レーザーガン」〜

だけど、今の日本に「レール」なんてないですよね?

あると思いたい人は大勢いるのだろうけど。

どんな職業だって先は見えません。「仕事やめたい、でも新卒でせっかくいい会社に入社できたいのにやめるなんてもったいない」なんて考えはナンセンスなのかもしれません。シャープが倒産しそうだったり、三菱自動車に信じられない不正が発覚したり。どんなに大企業だろうと安心はできない。レールに乗ったと思っている人生だって、行き先は地獄かもしれない。

だとしたら人々はなぜここまでレールを外れようとする他人に対して、心配してくれるのでしょう。本当は自分のことで精一杯なはずなのに。

日本にレールなんてない今、それでも自分はお前よりも安全な場所にいるという優越感?それとも本当に心配してくれているだけ?

親戚のおばちゃんはよく私がフリーランスでいることについてアレコレと言ってきました。自分とはまったく関係ない立場から、「ちゃんとした職業につきなさい」って。別に家柄がよいわけでもないので、見栄とか世間体でもない。もちろん優越感でも嫉妬でもない。思ったことを言っちゃう親戚の優しいおばちゃん。

冒頭で紹介した大学生のブログに批判コメントをしている人たちってこんな感じなのかな。とくに何も考えずに言っているだけ。皮肉ではなく、本当に「優しさ」なのかもしれないとさえ思えてきます。

……でも、私たちのことなんていいんです。レールを外れた時点で覚悟はできている。

大学生の頃なんて、考えているようで何も考えていないのです。だいたい大学生は秀才と凡人とバカしかいなくて、バカは後先考えずにやりたいことをただやるだけ。でもバカの中には天才がいて、そういう人は大成功するし、バカのままなら失敗を繰り返す。

とにかく私たちのようなバカはほっておけばいい。

今の日本ではちゃんと大学時代から将来を考えていた秀才や凡人、すなわちレールに乗っていると思っている人たちだって危ないんじゃないかと思うのです。私たちの心配している暇なんてあるの?

仕事やめたい、でもレールに乗ったからと新卒入社した会社にしがみつく人たち。行き先が変わってしまったとき、その人たちは何者かになれるのか。(もちろん私たちのようなバカが心配するような立場にないのは知っていますけど)

ザ・クロマニヨンズ 紙飛行機

今日走ってゆく 今走ってゆく 明日とかわからないし 別にいい 〜ザ・クロマニヨンズ「紙飛行機」〜

フリーランスは大変だけど、なんだかんだで好きなことをやっているという楽しさがあります。バカなりに楽しんで生きている。そこは強い。

だけど、もしもレールに乗っている人たちの中で、「本当はこんなことやりたいわけじゃない」という人がいたら、そんな中でそのレールを途中で外れてしまったら…

他人の心配なんてする前に、私たちのようなテキトーな人間から何かしらを学んでみるのもアリかもしれません。

(そして、もしも明日が見えなくなったとき、ヒロトの声はすごくやさしいよ)

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